吉田由美子 兵庫県出身
英文科卒業後、社会人を約20年。転職1回、食品系の会社でそれなりの責任を任されるポジションまで勤め上げ、ときどき悠々自適な海外旅行も楽しむ安定した生活とキャリア。でもそれを捨ててカナダ留学を決めました。
* 通学した学校
VGC International College(語学学校) / iTTTi Vancouver(語学学校) / Langara College(カレッジ付属ESL)
20年迷って40代で留学、目標は外資系転職のつもりだったけど。
--いつからカナダ留学を始めましたか?
2015年9月です。バーナビー(バンクーバーの隣の市)に姉が住んでいて、それより前から遊びには何度も来ていました。
--では最初からカナダが気に入って留学先に選んだのですね。
いえ、本当はカナダじゃなかったです。マルタに行こうと思っていて。代官山(東京)にある本屋でうろうろしていたときにマルタの本を見つけて。地中海で、歴史的な背景があって、民族の多様性がある場所、そして英語は公用語で、さらにマルタ語、イタリア語、いろんな言葉が話されているんですね。英語を学ぶ場所として一つの選択肢になると知ったんです。気候も良いし、南の島の雰囲気がいいなと思って、マルタ留学に行くつもりでした。
でも日本に残る母のことを考えると、私が姉と同じバンクーバーにいた方が何かと母のことで助け合えると思いました。それでカナダを留学先にすることにしました。
--留学して英語を学びたい理由はなんだったのですか?
キャリアアップですかね。(きっぱり)
もともと日本企業で働いていたので、待遇の男女差みたいなものがやっぱりあって、やった分に対して立場や給料がついてこなくて。じゃあ外資系企業、日本国内で働くのが前提だったんですけど、そっちで働きたいなと思って。外資系だったら上司も英語を話す人だったりするわけでしょう。英語しゃべらなきゃなって思ったんです。
私、もともと英文科なんですね。なんですけど、自分の英語が・・・。そのちょっと前に海外旅行に行ったら、入国審査で質問されても聞き取れないレベルであるのに気づいて、なんかこれはちょっとさみしいなと思って。旅行とかも日本人ツアーに入って行動が制限されてしまうとか、言語の制約をすごく感じたんです。
20年目の決断、「で、会社やめて。笑」
--ずいぶんと思い切りましたね~!
留学終わって次に働くときは新しい会社(外資系)でと思っていたので。英語はそのための必須アイテムですね。
--では、今は転職のための留学、期間限定ですか?
はい。カナダに行くと決めて実際に来たときは45歳になってました。高校、大学のときから留学したいという思いはずっと持っていたのですけど、その時は自分が持っていた環境を捨てる勇気がなくて。それを捨てていくのはいいんですけど、帰ってきたときのことを考えると、友達みんな卒業しちゃってるとか、学年が違うとか、そんなの考えたらできなかったんです。
でも30になっても40になってもあの時行っておけばなって思っていたんですよね。そしたら50になっても60になっても思うよね、って考えたんです。でもそのときに体力とか気力とか、いろんなものがついていかないし、当然語学ってそんなに甘いもんじゃないから、脳みそもスピードも落ちるじゃないですか。
今行かなかったらこの先ずっと同じ後悔を繰り返すのわかっているのに。じゃあ今、目的もあるし行こう。50歳までって期間を決めて、50歳までは好きなことするって決めたんですよ。だから約5年、、、あと3年くらい残ってんのかあ。
--潔くてかっこいいですね!
でも20年以上悩んだわけですよー!!やっと感じです。笑
その場所に暮して身につく英語を学びたい
高校生が始めての海外だったんです。当時大学生の姉がホームステイに行かへん?と言ってきて、「ホームステイって何?」っていうところから始まって。
結局大学生の姉と高校生の私はツアーが一緒にならず、姉は行くのをやめてしまい、私だけが行くことになりました。それが始めての海外、1ヶ月間アメリカに行ってすごく楽しくて、英語が一番得意な科目だったからすっと入っていけるし、1ヶ月でも英語力がやっぱ変わるんですね。高校生くらいなんで。笑
高校卒業後は短大に行って、ラッキーなこと学校のプログラムで2ヶ月間またアメリカに行けました。寮があって、グループごとにネイティブの学生と一緒に暮らして、一日中英語漬けの生活。そのときに自分の中ですごい英語が伸びることを実感して、えらそうに夢まで英語で見たりとか。笑
短大卒業後に就職しても英語を勉強したかったんです。でも、その後に転職も経験しているんで、仕事探すって大変だってわかっていたんですよね。やっぱり自分が持っているもの捨てるってなかなか勇気がいるなって。けど、前にアメリカに行った時に英語が上達した記憶があるから、言語は暮らしていくうちに身になっていくという思いがあるんです。だからやっぱりまた留学に行きたいなと思って。
--じゃあ今回は次の外資系就職に向けての留学なのですね。
だったんですよ。
(え、過去形?)
あっさり進路変更、そのワケは?
はい、だったんですけど、留学始めて1年目くらいで考え方が変わってきました。毎日学校の帰りに公園を歩いたり、あえてバスに乗らず電車に乗って遠回りして帰ったりとかしてたんですね。バンクーバーって私のホームタウンの西宮にすごく似ていて、山と海があって、わりと傾斜の強いところに家がいっぱい建ってて、ちょっとノースバンクーバーみたいだなって思います。どこ歩いてもそんな風に自然がいっぱいだし、毎日毎日そんなところで暮らしていると、心が豊かになる感じがして、日本でせかせかと暮らしていくのもう嫌だなと思って。
朝早くから通勤して、帰りは終電に飛び乗るような生活してたんで、そんな生活50歳過ぎてもしたい?って考えたら、答え完全にNOだったんですよ。仕事はすごい好きなんですけど、その働き方には魅力を感じなくて。他に豊かな生活がここでできるんじゃない?って思ったら目的が変わってきたんですよね。
月曜日から金曜日まですごい頑張って働いたから、週末に家で疲れて寝てるじゃないですか、日本では。でもカナダだと平日適度に仕事して、週末を楽しむような生活してる人がいっぱいいるじゃないですか。こういう生き方いいなって思って。自分の中で考え方が変わってしまって。
なので、目的が「日本でのキャリアアップ」、っていうのから「カナダで働きたい」に変わったんです。
ワークビザ取得も考えたのですが、私の場合は永住権を取る方が可能性がありそうなんです。ただ、年齢ポイントが低いので、その分IELTSとかで良い英語検定スコアをとって、英語ポイントで底上げしなきゃならないです。あと永住権とれたら、これから通いたいと思っている公立カレッジの授業料も安くなりますよね。その学校の足きり(入学に必要な英語レベル)がIELTS6.0なので、今はそれを目指して勉強しています。この夏までには永住権申請できたらと考えています。
やってくるちょうど良い波に乗っていく
--着々と切り開いている感じですね。
そういうのがないと気持ちが続かないんです。たまたまですけど、次のことあった時に調べていく、こんなんあった、あんなんあった、じゃこれしようって上手くつながっているだけなんですよ。ここ何年くらいかそんな感じです。
--決断が早くないですか?
たまたま気がつくきっかけがどこかでひょこっとやって来るんですよ。英語もそうやって伸ばしてこれたと思います。
お話を聞き終えて。
留学中の写真とか、あとOLやっていた頃の写真とかあったらください!って由美子さんにお願いしたんです。それで送られてきた写真の一枚が、バイクツーリングの写真。由美子さんって次々にやってくる波に上手に乗っかっていくライダーのようだな、と思っていたのですけど、やっぱりライダーでした。笑
20年決断できなかった留学だったけど、カナダに来てからの由美子さんは波任せ、風任せ。流されているわけでなく、自然体でもありながら、しっかりもがいて最後には乗りこなしている由美子さん、かっこいいです!