
日本で看護師経験がある方を対象に、カナダで看護師になるための手順を解説します。
看護師経験が無い方でも、カナダの大学経由で看護師を目指す事も可能です。この場合の相談は問い合わせフォームからご連絡ください。
カナダでは4年制大学の看護学科卒業が看護師資格の条件ですが、海外の看護師なら同等の学業(3年の看護専門学校含む)を卒業し、かつ看護師として就労経験があれば、カナダの国家試験を受けて看護資格を得る事が出来ます。
※看護師資格のルールは頻繁に変更があります。当ページは2025年5月時点の情報です。
看護師免許取得のポイント
カナダの看護師資格を取る方法は、一言で言えば国家試験(NCLEX)の合格と、看護協会に認定される事に尽きます。カナダは州ごとに看護協会が設置されています。この試験を受けるまでのプロセスが。特に座学や就労経験をリクエストされた場合、カナダ滞在ビザも自ら用意する必要があります。ここで多くの方は学生ビザで長期滞在する方法をとられています。⇒解説
目次
看護師免許取得の概要
必要な証明書
- 看護学校の学業証明(日本)
- 看護師の登録証明(日本)
- 看護師としての雇用証明(日本)
- 英語力の証明(ELTS or CELBAN)
看護師登録までの一般的な流れ
- 証明書類を看護協会へ提出:看護協会へ直接、または第三者機関経由で提出
- 評価テストを受験:筆記と実技に分かれた専門的な試験
- 追加授業・業務経験:評価テストに基づき指示を受ける。目安1年以下~3年
- 国家試験NCLEXを受験
- 州看護協会へ登録して就職活動
【関連機関】
・BCCNM(British Columbia College of Nurses and Midwives) — BC州看護協会
・CNO (College of Nurses of Ontario) — ON州看護協会
・Inspire Global Assessments(旧NCAS) — 評価テスト実施機関
・NNAS(National Nursing Assessment Service) — 看護師の学歴・職歴を評価する機関
手続きの流れ
1.各種証明の提出
看護資格をとる州の看護協会へ登録するにあたり、まず必要な書類を用意します。なお書類の準備、看護協会への登録、アセスメント試験(Inspireなど)の順序は必ずしもこの通りである必要はありません。
【ポイント】BC州の場合、Langara Collegeのプログラムを経由するとアセスメントテストおよび追加授業・追加実習のステップが不要になります。詳しくはランガラカレッジNursing Practice in Canadaをご覧ください。
学業証明
海外で看護師だった人は、カナダの看護師要件を満たす学歴・職歴を修めているか「第三者機関」で審査してもらう必要があります。昔からこの役割を行っていたのがNNAS(National Nursing Assessment Service)と呼ばれる機関です。
しかし現在は他の査定機関も利用する事が出来るようになりました。NNAS以外にWES, CES, ICES, ICASといった機関があります(これらはNNASと違い、看護師に限らず、学業の査定に特化したサービス)。機関の一覧はEducational Credential Reviewをご覧ください。
NNASは看護師の査定に特化した機関で、学業以外に「看護師登録」「雇用証明」も収集しまとめて次のステップである評価テスト機関に受け渡してくれます。しかし他の機関(WESやICESなど)は学業審査のみ行う機関であり、NNAS以外を使う場合は看護師登録と雇用証明の2点は看護協会や評価テスト機関(Inspire等)へ送る必要があります。
NNASは他機関よりも費用が高いですが、NNAS以外を利用する場合は自分で動く範囲が広い点にご注意下さい。また利用者の体験談によると、NNASは他の機関よりもプロセスの時間が長い、という情報もあります。どの機関を利用するか総合的に判断してお選び下さい。
NNASの場合の流れ
- Online Accountの作成
- 申請と料金支払い
- 必要書類(身分証明、学業、看護師登録、職歴など)の提出
- 審査完了まで待機(目安は12週間)
※詳細はApplication Process & Timelineをご覧ください。
なお証明類はそれぞれフォームが用意されており、学校がフォームを埋め直接機関へ送る必要があります。
評価を終えると、評価機関が直接テスト機関(Inspire等)へ結果を送ります。
看護師登録、雇用証明について
学業に加えて、同じように日本から取得しないといけないのがこの2点です。
・看護師登録証明⇒厚生労働省から直接機関へ送る
・雇用証明⇒過去5年間の看護系職場から直接機関へ送る
前述のとおりNNASならまとめて出せば処理してくれますが、それ以外の機関を利用する場合、上記2点を発行元(厚生労働省および日本の職場)から直接看護協会へ提出してもらう必要があります。
なお雇用証明で求められる勤務時間数は以前は4年間で1125時間といった規定がありましたが、現在(2024年6月時点)は明確な時間数は指定されていない模様です。また日本で4年制の大学を卒業し現在も有効な看護資格を持っている場合は、雇用証明は求められない模様です。
厚生労働省からの提出には非常に時間がかかる事例が報告されています。
英語力の証明
看護師の英語条件は、カレッジや大学にストレートで入学できる位の英語力が求められます。人によっては、この条件をクリアする事こそが看護師を目指すうえでもっともハードルが高く、時間と費用がかかる場合もあります。(しかし、一時期よりも条件は下がりました)
利用出来るテストは、IELTSまたはCELBANの2種類です。
IELTSは世界的に利用される有名な試験ですが、CELBAN(Canadian English Language Benchmark Assessment for Nurses)はカナダで看護師として働くための英語力に特化した評価テストです。医療現場で必要とされる英語の能力を測定するように設計されています。
IELTSは教材が多く対策しやすいというメリットがあります。ただIELTSのSpeaking要件は日本人にとっては高いと言えます。一方CELBANは専門分野のテストであるため一定の英語力に到達すれば、看護経験のある方は問題の傾向を予想出来て難易度が落ちると言ってもよいでしょう。
一般的にIELTSである程度スコアをあげ(Overall6.5など)、その後にCELBANを受けるというのも一つの方法です。また実際にカナダの現場で働く事を考えれば、CELBAN対策をする事は実務に直結する能力を養う事であり、単に試験対策の勉強ではない、という意識を持つことも出来ます。
なおテスト結果は試験機関から直接次のステップ(Inspireなどの評価テスト機関)へ提出する形をとります。
| 必要スコア(2024.8時点) | IELTS | CELBAN |
|---|---|---|
| Writing | 6.5 | 7 |
| Speaking | 7 | 8 |
| Listening | 7 | 9 |
| Reading | 6.5 | 8 |
| Overall | 7.0 | – |
2.アセスメント試験
学業査定、看護資格・雇用証明、英語スコアの提出を終え、かつ看護協会の登録(アカウント作成)を済ませると、テスト機関(Inspireなど)から連絡があり、テストの予約を行う事が出来ます。
【BC州】
看護協会:BCCNM (British Columbia College of Nurses and Midwives)
評価試験:Inspire Global Assessments(旧NCAS)
【ON州】
看護協会:CNO (College of Nurses of Ontario)
評価試験:RNCCAP(Registered Nurses Canadian Competency Assessment Program)
テストはCBA(筆記)とSLA(実技)に分かれますが、ライセンス書き換えをする場合に求められるのは「実技試験」のみです。Inspireのバンクーバーの場合、CBAはダウンタウンにあるPrometricというテスト機関、SLAはLanagara Collegeキャンパスで開催されます。
テスト結果のレポートは60~90日以内に出るとされています(実際はもっと早い事例あり)。
【テストの難易度は?】
体験者の声によると、IELTS条件をクリアできる英語力さえあれば、日本で看護師の知識があるためこの試験自体はそれほど難しいとは感じない、という声もあります。なおCBAはRN向けの場合5時間で、一問2分以内に答える方式となっており、英語テストへの慣れも求められます。
【テストが不要な場合】
ランガラカレッジのNursing Practice in Canadaへ通う場合、このアセスメント自体が不要となります。つまりアセスメントの内容は、学校のプログラムを履修して卒業する事でカバーされる形です。
3.追加授業・業務経験
アセスメントの結果が看護協会へ送られると、看護師登録が可能かどうかを査定します。査定にかかる時間はテスト後1.5~2ヵ月ほどと言われています。
BC州の場合、査定結果はBCCNMからDecision Letterという形で本人へ届きます。経験や知識に不足があると判断された場合、必要に応じて学校での追加受講や病院での現場実習が要求されます。
バンクーバーの場合追加受講はKPUやTRUといった大学で提供されています。場合によっては数ヶ月のオンラインコースや短期実習などで収まるケースもあるようです。
※コースが受講できるまで待ち時間が発生する事合が多く、この期間を待機できる長期滞在ビザも自分で用意する必要があります
※こちらもアセスメント試験同様、ランガラカレッジの看護コースに通う場合は、追加授業・実習は発生しません。
4.国家試験(NCLEX-RN)
前ステップで指示された追加講義・業務経験を終え、受験許可が下りると看護資格の試験NCLEX-RN(National Council Licensure Examination for Registered Nurses)を受けます。
NCLEX-RNはアメリカの看護師資格試験ですが、カナダの一部の州やオーストラリアでも採用されています。BC/ON州の看護師もNCLEX-RNの合格が必須です。
コンピューターベースで行われる試験で、最低75問、最高145問が出題されます(2024年時点)。1問目からの累積が合格ラインを超えれば最後まで解答しなくても終了できるため、問題数は動的となっています。逆に正答率が低く、合格ラインに達しないと判断された場合は途中で試験が強制終了される場合もあります。また評価されない実験的な問題(pilot question)が含まれることがあります
経験者によると、日本の看護の国家試験より難しい印象との事です。
※NCLEXの出題形式や問題数は過去に改編が繰り返されていますので、最新情報はご自身でご確認下さい。上記は2024年時点の情報です。
7.カナダで看護師登録!
試験に無事合格したら、看護師免許を登録しカナダで就職が可能となります。
ポスグラの活用
日本の看護師の場合、アセスメント試験(Inspireなど)を受けた後ほぼ追加コースがリクエストされます。
リクエストされる授業はオンラインやパートタイムの物もあり、その場合は学生ビザが申請出来ません。またカナダで追加の就労経験を求められた場合、その間に滞在するビザを自分で用意する必要があります。
また仮に資格を得ても、資格そのものはカナダの滞在・就労ビザは用意してくれません。雇用主の病院からビザのサポートをしてもらうなど、結局のところ自力、または雇用主に頼ってビザの問題を解決しないといけません。
そこで問題を解決してくれるのが公立カレッジの看護師プログラム(2年)です。
このプログラム自体は看護師資格の条件ではありませんが、カレッジ卒業後3年間の就労ビザ(ポスグラ)で長期滞在できるため、ビザの問題をすっきり解決されます。資格と同じくらいに重要な役割を果たすと言ってよいでしょう。
通学自体も、資格取得に大きな意味を持ちます。日本の医療システムとの違いやカナダ特有の知識を、座学と実習・ラボで補う事が出来るため、実務に先立って必須のプロセスとも言えます。(詳しくは後述のランガラカレッジ卒業生の体験談を参考)また学校へ通う事で追加講義や実技が免除される事もあり、スマートに資格を目指せます。
➡公立カレッジおよびポスグラ(Post-Graduate Work Permi)の解説
カレッジの看護プログラム
以下にご紹介する公立カレッジ2校は、日本で看護学校卒業または看護師資格を持つ方が入学出来る看護プログラムを提供しています。カナダの看護知識や理論、実技に加え、資格取得に向けてNCLEXやOSCEなどの試験対策を行います。
これらはPost-Graduateプログラム(大学卒業が入学条件)ですが、Langara Collegeは4年制大学でなくても入学が可能です。
Langara College

Langara College
BC州バンクーバーにあるLangara Collegeでは、Nursing Practice in Canadaの2年プログラムを提供しています。
ランガラカレッジの最大のメリットは「資格取得」において以下のステップが省かれる事です。
・CELBAN/IETLSの英語スコア不要
・シラバスやNNAS/WESなどが不要
・アセスメント試験(NCAS/Inspire)が不要
・通常NCAS後に指示される追加の授業・実習が無い
このページで解説する資格までのプロセスが何段階もスキップされます。ランガラカレッジが資格切り換えのプロセスで非常に優遇されている事がわかります。
これにより、英語テストやNCASなどの試験を考えず、「ただプログラムに集中すれば自動的に資格までたどり着く」という形となっています。ポスグラとも相まって、BC州においては鉄板の選択肢とも言えます。
※英語スコアについて:資格取得時にスコアは不要ですが、カレッジ入学時、およびポスグラ申請、永住権申請では必要となります
入学条件:4年生大学の看護学位保持、または過去4年以内に3年制の看護過程を修了した者
※日本で学校卒業後4年以上経過していても、日本の有効な看護資格を保持していれば申請可能です。追加の申請フォーム提出とビデオ面談を通過することで入学資格を得る事が出来ます。
看護師プログラム通学中の3名にグループインタビュー
ランガラカレッジ卒業して看護師になるYukaさんの体験談
Conestoga College

Conestoga college
ON州ウォータールーにあるConestoga Collegeでは、Enhanced Practice for Internationally Educated Nursesにて2年の看護過程を提供しています。
入学条件:4年生大学の看護学位保持、平均成績がON基準でGrade B以上、日本の有効な看護資格
3年間の看護学校卒の場合、一年間の看護コースに通い不足クレジットを取得した後で入学が可能だったケースがあります。詳しくはお問合せ・ご相談下さい。
看護師でない方向けのプログラム
日本で看護師の資格を持たない、または看護学校を卒業していない方は、カナダのカレッジ・大学でNursing Degreeを取得する事で看護師資格を目指す事が出来ます。以下はカレッジ経由で看護の学士を目指せる学校のサンプルですが、他にも多くのカレッジ・大学で提供されています。
・Sheridan College
ON州トロントにあるSheridan Collegeは、留学生も入学出来るPractical Nursingコースがあります。
・Conestoga College
前述のON州Conestoga CollegeのPractical Nursingでも留学生が入学可能です。
体験談・ポイント
実際にカナダで看護師として働く方(日本の元看護師)の体験談をご紹介します。
・カナダの医療は完全分業なので、仕事量は多くない。定時に帰宅でき、有給も取得できる。
・日本のような委員会はない。時間外で参加するものは必ずExtra Payがもらえる。
・ボーナスはないが給与は高い。
・患者層が日本と異なる場合がある。病院によるが総合病院だとdrug abuseの患者や、ホームレス、Bed bug患者など対応が大変な患者も多い。
・日本のようにシステム等がオーガナイズされていないと感じることもある。
・看護の業務も日本より分業が進んでいて、看護師側の安全も担保されている。
・スキルアップを目指せる文化、資格などをとれば給料もあがる。
看護留学のお問合せ
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